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坂本龍一 | 音を視る 時を聴く
東京都現代美術館では、このたび音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本では初となる最大規模の個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」を開催いたします。
坂本は50年以上に渡り、多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切りひらいてきました。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践しました。本展では、生前坂本が東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に、坂本の創作活動における長年の関心事であった音と時間をテーマに、未発表の新作と、これまでの代表作から成る没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりを、美術館屋内外の空間にダイナミックに構成・展開します。これらの作品を通して坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどり、この類稀なアーティストの新しい一面を広く紹介いたします。
坂本龍一の「音を視る、時を聴く」ことは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出します。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることでしょう。
コラボレーション・アーティスト|高谷史郎、真鍋大度、カールステン・ニコライ、アピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalan、岩井俊雄
スペシャル・コラボレーション|中谷芙二子
展示構成
ハンドアウト
■企画展示室 1階
坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024 (新作)
坂本龍一+高谷史郎《water state 1》2013
坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2024
カールステン・ニコライ《PHOSPHENES》《ENDO EXO》2024(新作)音楽:坂本龍一
■企画展示室 地下2階
坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》2017
アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》2021 (日本初公開)
坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》2024
坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017
坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》2007
*アーカイブ特別展示:1996–97年のパフォーマンスを再現した新作インスタレーション
坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Images X Images Play Music》1996–97/2024(初公開)
■中庭(1階/屋外)
坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024
■サンクン・ガーデン(地下2階/屋外)*スペシャル・コラボレーション
坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 2024(新作)
坂本龍一+高谷史郎
両氏のコラボレーションによる作品5点を展示します。
坂本が2011年の東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会い、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え作品化した《IS YOUR TIME》(2017/2024)。大自然の営みによって一つのモノに還ったピアノが世界各地の地震データを使って、地球を鳴動する装置として生まれ変わります。
坂本と高谷のインスタレーションには水や霧が重要な要素として繰り返し登場します。2007年に発表された代表作《LIFE–fluid, invisible, inaudible...》(2007) は、坂本のオペラ『LIFE』(1999) をベースとするサウンドに包まれた空間に、頭上に浮かんだ9つの水槽が明滅する中を、庭を散策するようにしばし佇みながら、ゆっくりと歩み、従来のリニアな体験とは異なる時空間の拡がりと流れを体感できるインスタレーション作品です。《water state 1》(2013)、そして本展にあわせて制作された《async–immersion tokyo》《TIME TIME》(いずれも2024)も展示します。